熟議(討議)の民主主義や新しい公共についての関心が高まっています。米国や英国でもオープン・ガバメントの取り組みが進んでいます。ハーバーマスやコーエンは代表制議会民主主義を市民社会によって補完するために、コミュニケーション的相互行為や公共圏の再確立を提唱しています。日本の政治決定過程は、いわゆる官僚主導(55年体制)から政治主導(2010年体制?)に大きく舵を切っていますが、その具体的な制度設計については、まだ緒に就いたばかりです。
政治の実務と政治哲学の理念を具体的な政策形成の仕組みに結びつけるためには、中央省庁の政策形成の実務を踏まえたうえで、世界システムの複雑性や多様性をタイムリーに吸収し、政策決定に活用する戦略的組織論や、ネットワークに参加する主体の多様性についての研究を組み合わせるアプローチが有効です。本研究会は経営学、政治学、政治哲学などの研究者とオンライン政策形成を担当する実務者をメンバーとして、熟議と新しい公共の政策形成に関する調査研究と提言を行うものです。